人の為になることを
目の前にえんま大王がいる。
どうやら私は死んでしまったようだ。
むずかしい顔をして、えんま帳なる物をにらんでいる。
「しばらく地獄にいてもらおう」
「ええっ
…そんな。私は何一つ悪いことはしておりません。地獄だなんて、もっとよく調べて下さい」
「しかしな
…」立派なひげをさすりながら、ページをめくり直す。
「確かに悪いことはしておらんが、これといって良いこともしておらん。何か人の為になるようなことをしたか、思い出してみろ」
考えてみると、さして良いことなどしていない。親切めいたおせっかいや、ボランティアなどというものにも興味がない。子供の頃は貧しかったし、学校もろくに出ず、仕事に生活に追われた。四十を前になんとか家庭を持ち子供ができ、ローンながら家も建てた。まだまだこれからという時に死んでしまったのだ。こんなことがあっていいのか
…その上地獄だなんて。
「これから
…これからやる予定だったのです。今までは余
裕がなくて
…お願いです。もう一度チャンスを下さい。どうか生き返らせて下さい。必ず、必ず人の為に何かしてきます。このままでは死に切れません。かわいい盛りの子供と、妻はどうなります。今頃悲しみにくれているかと思うと、私は
…」
「そんな訳にはいかん」冷たい言葉を投げて、えんま大王は次のページをめくった。
「おや?これは
…見落とすところだった」
「えっ」
「お前の死後、生命保険が入り、女房はローンなどの精神的苦痛から解放され、子供たちも新しい若い父親ができたと喜んでおる。さあ
…天国行きの門をくぐるがいい」
看完觉得很不错,本想从网上找到拷过来(果然是找不到),于是就打下来了
看在我幸苦的份上大家也谈谈感想吧~