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玖羽 - 2004/4/5 10:26:00
http://ya.sakura.ne.jp/~otsukimi/hondat/view/air.htm

Air   ~へぼレイ鳳凰編~


警告! ネタバレ全開につき未攻略の人は絶対に読まないよーに。

  さて、ONEで「常人の20倍のカロリーを摂取する座頭少女」を大活躍させ(これがのちに格闘技マンガと合体して「泣き虫サクラ」に進化するとは、神ならぬ私の予測できることではなかった)、さらにkanonでは「レーガン元大統領状態少女」「自殺マニア少女」「植物人間少女」など、さらに踏み込んだ領域にコマを勧めてしまったKeyクリエイター軍団。
  その勢いは、「不幸少女ゲーム」という全く新しいジャンルを確立してしまったのみならず、各界にも影響力を。
  そう、われわれが「次は車椅子だよな!」と期待しているうちにTBSが先取りして「ビューティフル・ライフ」をオンエアしてしまって大ヒットを飛ばしてしまったのだ。

  というわけで、もう「シックス・センス」オチは使えないし、今回は苦しいんじゃないかと噂されていたのだが、やっぱりやってくれたぜ不幸少女ゲームの雄は! 堂々、王道の車椅子少女! とーぜん親と不仲で友達がいないクララ状態! なんだけど、さすがに、車椅子だけで常盤貴子に対抗するのはきついということで、今回のKeyは恒例の「この世界は全て、一人の少女の夢が生み出した観念の世界なのだよ・・・」というバイオレンスジャック方式の世界観をさらにワールドワイドに拡大。
  前作までのモロなエヴァンゲリオンのりと、このAirというタイトルでご想像がつくとおり、冒頭からエヴァ節全開、なんと、今回の神様少女は、リリスなのだ! リリスって、ほれ、あの、巨大で羽根の生えてる白いへぼレイのことですよ、くるくるー。そのへぼレイが巨大な地縛霊と化して青空の彼方に憑依しているために、いろんな少女が不幸になってしまうという、そういう謎な設定のようなんだけど、それだけじゃ訳わかんないんで、「綾波=火の鳥説」に基づいて、このへぼレイの分身が、代々輪廻転生を重ねてそのたびに酷い目にあって若死にしてしまうという、凄まじい手塚治虫風因果ワールド。当然、その因果の始まりというのは平安朝時代の八百比丘尼(火の鳥異形編で輪廻因果世界に取り込まれて同じ時間をぐるぐると回っていたあのオネーサンと同姓同名?)にさかのぼるのです。この八百比丘尼が何も悪いことしてないのに人間の欲望と怨念に魂を汚され、その娘のへぼレイが翼を広げて迎撃に出るが人間どもに返り討ちにあって空中で敢えなく戦死。そのへぼレイの地縛霊は1000年未来までも青空の向こうにこびりつき、その呪われた魂は何度もへぼ娘として輪廻を繰り返し永遠に苦しみ続ける・・・という、まあ、エヴァンゲリオン+火の鳥という二大強迫観念マンガのフュージョンみたいな話でした。
  もちろん主人公の男は、1000年昔からへぼレイと相思相愛なんだけど、リーインカーネーションして巡り会うたびにどっちもへぼレイの呪いで不幸になって死んでしまうという、トホホすぎる有様で、1000年の間そんなトホホな苦しみを受け続ける彼は、まさしく猿田博士の正当な伝承者と言いたいが、猿田博士と違って男前なので共感はできない。「彼女の力になってあげたい!」と超能力を使っても何故かカラスになってしまうというマヌケさで、これって要するに「火の鳥」のロビタなんだけど(知ってる?)、あまりの情けなさにプレイしながら頭のなかには「悲しきダメ人間」(筋肉少女帯)がリフレインするしかなし!
  ほんでもって涙の闘病生活の後に、オチでハッピーエンドになるのかと思いきや、なんか新興宗教のパンフレットみたいなエコな言葉がダーッと飛び交いだして、リリスが羽根を開いて地上に降臨? うわーっエヴァになっちまった、収拾つかねえ! と慌てふためいていたらまたまた時間が最初に戻ったのか、それともハッピーエンドになったという意味なのか、海岸でへぼレイと主人公(仮に名前を猿田と名付けよう)が二人肩並べて座っているところを、幼稚園児のガキのカップルが眺めて「さようなら」って言っておしまい、って、わけわかんねえ!!(^^;) 「きもちわるい」よりはマシだが、いったい、どういう解釈をすればいいのやら。公式ページに書いてないかな?(^^;)

  エヴァンゲリオンの火の鳥的もしくはデビルマン的解釈といえば、オリが昔書いたパロディ小説でそんなのがあったけど、エヴァと火の鳥が共通して持っている特徴というのは、その、「女にモテネー」「オリは不幸であるべし」という凄まじいまでの恋愛不成立不幸突入強迫観念なんだよね。手塚先生って「アポロの歌」でも、とにかく何かの因業で輪廻転生未来永劫ずっと悲恋を繰り返させられるというゾッとする話を描いてるんだけど、「火の鳥」も、結局は、猿田というモテネー男が、何度死んでもまた猿田に生まれ変わって、そのたびに女にモテネーという凄い強迫的な観念の反復をマンガにしているわけですよ。いってみればモテネーダメ人間神経症の発露のようなもので・・・エヴァもそうだよね。やっと二人きりになれたと思ったらオナニーしたり首締めたりで、まあ、こっちは「自業自得」って感じのほうが強いんだけど、とにかく、恋も愛も実らない、永遠に孤独地獄、自分は幸せになる資格がない罪人だから不幸にならなければならない、という、けた外れのマイナスの強迫観念が、この二つの作品の根幹に根ざしているわけで。
  それで、Keyの作品っていうのは、エヴァからとっちらかってわけわかんない部分を切り捨てていって、エヴァが表現しそこなっていたそういう恋愛不成立不幸突入強迫観念だけを抽出して、それを癒し系のドラマとして表現していくというのが基本にあると思うんだけど、今回はとうとうそれをモロに全面に押し出してしまって、風呂敷広げすぎたんじゃないかなー・・・と思ってしまうのは、オリがラストシーンをどう解釈していいのかよくわからないからなんだろうなあ。単にオリの頭が悪いだけなのかもしれませんが、黒澤清の映画のラストシーンぐらい判りづらいんだよなあー(^^;)
  まあでも、へぼレイの正体を人間に捕らわれた火の鳥に決定して話を進めるところとか、1000年時間をさかのぼって因果ものにするあたりとか、エヴァってこういう話じゃなかったのかよーというKeyの熱い魂だけは、間違いなくしっかりと受け取ったのでありました。

  これのラストってファンの間ではどういう解釈されてるのかな。オリは「ええっ、最後まで繰り返しのまんまなの? それとも、さようならっていう言葉が、無限ループの終了を意味してるの? とすると、このガキ、誰? カヲル君??」と、全然考えがまとまらないんすけどね・・・(^^;)

  また、すげえなあと感動したのは、もう、恋愛ゲームでもなんでもないんだよね、これ。(^^;) エロ要素ほとんど0なのは前からなんだけど、今回は、主役の男はとっとと退場して、ほとんど全編が病気の娘とそのおかんの親子闘病愛物語なんだから・・・(^^;) そういう手があったかあ!! と目から鱗。(^^;) もはや恋愛ゲームを通り越して、家族ゲームになってるんすよ。(^^;) 「餓狼伝」がサクラの登場で格闘マンガを通り越して家族マンガになっちゃったのと期を一にして、時代は今、恋愛から、家族(とくに母子関係)へと、大きく転換したのかもしれません。あるいは単にマザコントラウマ炸裂時代に突入しただけなのかな。
  やっぱ、家族がクタバッテいく様を看取らされるってのは、辛いもんすよ・・・ずるいっすよ! そりゃ泣くしかないっすよ!(^^;) しかし核家族化のせいで最近の若者はそーゆー自分の家族がクバタッテいく様を看取る経験が減っているらしいから、こういうのもいいんじゃない? もっとも、妹が水子になるとか、おかんが基地外とか、親父に捨てられて叔母に預けられるとか、あーもう全部(ピー)なオリには辛すぎてダメだ! オレの負けだ、勘弁してくれえ!!(;O;)

  本当、どこまでエスカレートしていくんすかね、エヴァあたりから始まったこの「不幸少女ゲーム」とゆー世界わ。(^^;) 今回、車椅子も水子霊も二重人格もやっちゃったから、あと残ってるのは・・・ドラマで昔実際にあったのは、AIDS少女とか、あと、「ピュア」(テーマソング・ミスチル「名もなき詩」)ですか。(^^;) 昔「グロリア」ってゲームが「ピュア」やっちゃってましたが・・・野島信司的に親父(峰岸徹)にやられ続けている娘さんというのも泣けるかもしれませんよ。あ、こういうゲームのヒロインって処女じゃないといけないんだったっけ?(^^;)

  あ、そういえば・・・Airと並ぶ大作として出てきた「ナチュラル2」のほうも思い切り家族トラウマゲーム+トラウマ脳障害幼児退行看病モノでしたし、思い切り時代の潮流に乗ってますがな・・・(^^;) なるほど・・・(^^;)

  しかしオリが今一番関心があるのは、家族でも少女でもなく、ましてや、お空のリリスでもなく、猪木暗黒神話と「餓狼伝この先どうなるのかなあ」だったりして。おいおい、出てきちまったぜ、猪木の弟子がよお!!(^^;) 「BAKI」も、おろちかつみが戻ってきて「オレは空手家でなくていい」とガソリン火炎攻撃かましてたから、もしかして猪木が人類史上もっとも卑劣で卑怯な手段でナントカスキーに復讐するのかな? うおーやっぱ刃牙には猪木が出てこなきゃあウソだぜ旦那!!


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以上。
Prz - 2004/4/5 13:13:00
静候翻译...
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