[生活祭]便当の便は便利の便なのだ、カモ。その2
えっとですね、今晩は「来週」っぽいですから、弁当屋さんの武勇伝を再開としましょう~
「こ、これはっ!」
「私に娘の顔を見させて下さい」と、書いていった。
。。。。。。
「知るかぁっ、そんなもん!!娘って誰のことだよ?!俺様かっ?俺様がお前の娘なのか?!つうか、親父はもうなくなったんだよこの偽物野郎がっ!!!」
その黒く染まっていた手紙を地面に叩き込むように、弁当屋は全力でそれを踏み躙っている。
「だから、それは死後文だって、さっきあの子が言ってたじゃないか?」
「まったく、今度は誰が出るかな~」狂った精神をあっさりと捨てた弁当屋はもはや誰が出ようと驚かない程の力を手に入れただろ。
「って、まーたお前かい?」自分の視力に自信があるんだけど、声の雰囲気があまりにも違っていたから、一瞬見間違ったと思うところなんだ、何しろこれは最近病院で入れ替えたばかりの眼なんだから。
かわった制服と白い髪、確かに先出会った奴もこうだったな。
「普通に顔から考えてくれよ!」少女は弁当屋を貫くような視線を送る。
「あはは、あはは、すいやせんぜ、ってなんで俺が謝るんだよ?!」
「つーか、一体何の用だよ。」もうくちゃくちゃになったこの会話は一体何を意味するのかって訊いてみたいくらいめちゃくちゃになった。(おおお!またすっげぇーやつが出たぞ!)
「ある死者のために、あなたにも来て欲しいの。」女の子は確かに先の子とは違う、なんというか、真面目になったような気がする。
「明らかにどっかの知らない天才少女のマネをしてんだな、それっ!」
「では、お連れしましょうか、その人の願いが叶う場所に。」
「もうやめろっ!突っ込むのはもう嫌なんだよ!ついて行くから、もう言うな!」
「話の分かるいい奴だな、お前。」
「やめろって言ってんだろうが!その人の願いを叶う前にまず俺の願いを聞いてくれよ!」
。。。。。。。。
あっという間に病院の前。
「病院?」
「うむ、お姉さんが案内してやるからついて来るがいい。」
「あーあー、分かったよ。ってお前そんなに突っ込まれるのが好きか!」
「岡座木汐さんはどこに居るかな、かな?」と、ナースさんに訊いてる変な女の子。
「うん、あっ、汐ちゃんですよね、ちょっとこっちですよ」
「赤ん坊の部屋?」目の前にあるのは、沢山の赤ん坊さんが入っている可愛く作られた部屋だった。
「ほら、汐ちゃんならあそこで気持ちよく寝ていますよ。」
ナースさんが指差した方向に視線をやれば、確かにその「汐」という名の赤ん坊が見える。
「って、俺は何をやればいいんだ?」
「ただ見ているだけで十分、だよ。」先からずーと黙ってた女の子はその赤ん坊を見続けるまま軽い口調で返事した。
「はあ~」
よく分からないんだが、これで話が進められるなら構わないけど。
。。。
「えっ、なんで、悲しいことなんてねーのに、涙が。止まらない。。。」
。。。。。。
表情を変わらぬまま、弁当屋が泣いてしまったんだ。
当然、彼にとっては、悲しむことなんてなかった。
悲しいんでいるのは弁当屋じゃなく、彼の眼球だけだった。
弁当屋がその女の子に会う数日の前に、自分の子供が誕生する病院に向かった一人の男がいた。
彼は「一秒でも早くその子に会いたい」という気持ちで会社から飛び出したけど、途中事故にあってもう会えなくなっていた。
そして、男は自分の眼を。。
「そして、男は死の世界でこの手紙を私に託した、どうか私の眼だけでも、娘に会わせて下さいっとな。」
「そういうことか。」口まで流れ込んで来た涙を拭えて、弁当屋は自分の眼がその一度でも娘の顔を見ることが出来なかったお父さんのものだと気付く、小さい声で呟いた。
。。。。。。
数日後、
「えっ、またこの黒い手紙か、俺の体ってもしかして、死人の器官ばかり入ってんのかよ?」
女の子から再び手紙を受け取った弁当屋は呆れた表情で自分が受けた身体改造の回数を考え始めた。
「ってまだ、お前の名前すら分かっていないんだな。」
「えっと、うんっ。フミカだよ。」最初出会った時のレベルに戻って来たのかこの雰囲気って。
「フミカかぁ~いい名前じゃないか。そうだ、俺は神式舜一、よろしくなっ」
「あなた、便当屋じゃなかったっけ?」
「そう、便利の便で、便当屋。ってなんで知ってんだよ!そもそもそれはただの偽名だけだよ、人の名前に似てねーよ!」
「神式舜一の方が偽名らしい名前に決まってるじゃん? わいわい~嘘好き~むぎゅう~」
「くぅ、逃げられたか。」女の子の本性をさらけ出したのは事実だし、まー今回は見逃してやるかっ。
「さて、今度の手紙はなんだろう?」
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「ありがとうございます。」差出人:岡座木智也。
とある便当屋さん 最后编辑于 2009-01-02 21:51:49
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東方求聞史記幻想郷縁起!
鐘楼は何処にあるか。日々は穏やかに…あの瞬間がやってくるまで。